モラハラ夫の父と、天然だけどしっかり自分の意思を持っている母
共働きの両親の代わりに面倒を見てくれた祖母と絶対働かない祖父
私に甘い曽祖母と2歳差のかわいい弟
父の実家である高梨家、6人で暮らしてました。
私にとって、父は怖く苦手な存在でした。
テレビは、父が見たいもの優先。
母は、私たちの為に小さなテレビを部屋の端っこに用意してくれました。
毎日、3人でキューっと抱きしめながら見るアニメはすごく楽しかったのを覚えています。
そんな、ある日
母が、おばあちゃんの家に泊まりに行こう。
お泊まり大好きな、私たちにとって最高の提案でした。
「いくいく!」
はしゃぐ私たち
「じゃぁ、今日は大切なものをみんな、持ってこう!」
母は楽しそうに、提案し。
大きなカバンを広げました。
沢山の大切なものをバッグに詰め、おばあちゃんの家へ向かいました。
母がどんな気持ちで、車を走らせていたのか。
どんな気持ちで、祖母は見送ったのか。
何も分からなかった私。
もし、あの時全部知っていたら。
きっと、こんなに苦しい思いはしなかったのだろう。
2週間、おばあちゃん家から学校に通う日々。
「まだ帰らないの?」
何度か、尋ねたが
「帰りたい?」
と尋ね返されるだけで、ちゃんとした返事はくれなかった。
子供ながらにして、おかしい事には
薄々気づいており、母が真剣に家族会議していることが増えたからだ。
内容までは聞こえないように、
別室へ連れられ、叔母に遊んでもらっていた。
ある日
学校に父が迎えにきた。
何の疑問もなく、父の家へ行った。
「ママに、頼まれた。」
と言われたからだった。
その時の父は以前より、優しく、
少し、疲れたような顔をしていた。
好きなお菓子やおもちゃを一つずつ買ってもらい、高梨家へ向かった。
家の中も家族も変わりないように見えたが、どことなく寂しさを感じられた。
いつも厳しい祖母も優しく、私たしの大好きなご飯を用意していてくれた。
父は言った。
「ここの家は、いいだろ?」
「ここに住めば、転校しなくて済むし、友達とも離れなくていい。」
「今まで通りの生活ができる。」
「この部屋だって、俺は1人で毎日寝てる。可哀想だろ?」
「母は、裏切り者。」
「ここの近所の人たち、学校の先生もみんな高梨家の味方なんだよ。」
「母はお金がないんだ。どこにも行けなくなるぞ。」
「母の実家も、あの辺では頭おかしい人達で、有名なんだ。」
「俺はこんなに弱って可哀想だろ?」
どのくらいだろ…
父の話を、父の気が済むまで話を聞いた。
本当は、遊びたかった。
弟には、遊んでおいで。
と、1人で遊ばせた。
その時、私は悪いことしてるのではないか?
元いた生活に戻るべきなのではないのか?
おかしいのは、母なのではないのか?
弟の為にも、転校はさせない方がいいのかもしれない。
経済的も、大好きな母には苦労かけたくない。
慣れた環境で、生活するのがいいに決まってる。
この時、どっかで決まっていたのかもしれない。
父と暮らすことを。
数時間後、母がけっそうをかいて迎えにきた。
久々に、高梨家にみんなで集まれて、すごく嬉しかった。
なのに、母は険しい顔。
聞いたことのない、怒鳴り声
本当にみんなで一緒には暮らせないと確信した。
その後、半年近くたったある日の晩。
いつからか、高梨家で母以外と暮らしが当たり前になっていた。
父が、今から俺が言うことを覚えろ。
「私は、母と一緒に暮らしたくはありません。
母のことは大っ嫌いです。
父はとても優しくって、大好きです。
これからも一緒に暮らしたいです。」
この文章を覚えるまで、言い続けました。
7歳の子供には、とてもじゃないけど覚えられませんでした。
思ってもないこと、言いたくないことを覚えるのは、しんどかった。
深夜0時を回り、いまだに、上手に言えず、
怒鳴られ続け、逆らうこともできず、
深夜2時、言えなかったが父が寝ていいと話
そのまま、深い眠りについた。
次の日
父に連れられ、家庭裁判所へ
取調室のような場所で、知らないおじさんと母が待っていた。
母に、久々に会った私は泣きそうになるのを堪えるために、
下を向いて、昨日練習した言葉を必死に言葉にした。
弟が母親に会えて嬉しそうな顔も
母が必死に、
「本当の気持ち言っていんだよ!」
「無理させてごめんね」
「辛い思い、してない?」
「母は、2人の味方だよ」
沢山の愛の言葉をかけてくれた。
本当は、そのまま抱きしめて欲しかったのに
拒絶をしてしまった自分を
一生後悔することになることを
この時の私は、まだ知らない。
数ヶ月後、両親の離婚が決まった。
親権は、父のものになった。
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